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今回はどこまで行くのやら

釣魚島不法上陸にともない中国各地で反日大遊行(反日デモ行進)が呼びかけられている。ポスターはいずれも同一テンプレートで、元ネタは映画『南京!南京!』(2009)のポスター。官製デモだと思うが、果たして今回は何処まで黙認されるのか?しかも秋には胡錦濤体制から習近平体制への移行が予定され、重慶事件での薄煕来失脚に象徴される胡派vs習派の権力闘争も絡んで余談を許さない。更には民主党政権が何処までダメな政権なのかが明らかになるだろう。
中國網民「發起多個城市反日遊行」

平反六四

また今年も6月4日が経巡ってきた。もう23年経ったのかという思いである。
鄧小平の呪縛は薄れ江沢民の影も薄くなった。胡錦濤と温家宝体制もきしみを見せ始めたが、これから習近平体制への移行も着々と進んでいる。また保守派の薄煕来失脚という政変も世界を驚かせた。
中国共産党による天安門事件の全面否定はおそらくあり得ないだろうが、文化大革命のように一部否定ということもあり得るのかもしれぬ。そして何より平反六四(天安門事件の無実の罪をすすぐ)がいつ実現するのか。
今日はあの日を頭の片隅に置いて一日を過ごす。

22回目

劉暁波ノーベル平和賞騒動、艾未未拘束、姿の見えない茉莉花革命、民主活動家、芸術家への弾圧と拘束、西藏、ウイグル、内蒙古で頻発する民族デモと当局の弾圧、胡錦濤体制から習近平体制へ、六四民主活動家たちはツイッターやフェイスブックで発言、80后、90后の台頭は中国を変えるか? あの時から22回目の6月4日。

そこには誰もいない

中国の「茉莉花(ジャスミン)革命」の象徴的な写真がある。

Newsweek日本版の記事からリンクされていて見つけたのだが、そこは茉莉花革命集会の集合地点とされた北京王府井の一画。群衆と公安、カメラマンたちが取り囲む輪の中心。そして、そこには誰もいない。輪の中心に革命を叫ぶ活動家、あるいは誰かが登場し、その演説やパフォーマンスを眺めて声援を送る人も、罵声を浴びせる人も、黙って眺める人も、冷ややかに眺める人も、当局に通報する人もいない。舞台に誰もいなければ芝居は始まらず、やがて観客は飽きて立ち去る。

私は「茉莉花革命」なるものが、すぐにエジプトやチュニジアのように政権打倒につながったり、リビアのような泥沼になるとも思わない。中共はそれほど脆弱でないし、むしろ恐ろしいほど強力かつ狡猾だからだ。そして孫文の言う「散沙の民」である中国人が一枚岩になることは簡単ではない。中共政権下で、良くも悪くも一枚岩の様相を呈していた中国人民は、1990年代末「できるものから先に裕福になれ」という鄧小平の「先富論」の大号令に従った。そして経済成長とともに、富めるものとそうでないものの格差は恐ろしいほど広がった。中国人民は経済成長という劇薬により、再び「散沙の民」に戻った。

北京王府井の輪の中心には、現代の毛沢東も周恩来も蒋介石もいない。そして輪の中心を見つめる群衆の視線は、何を見つめているのだろうか。

茉莉花革命

エジプトを始めとする中東諸国の民主化を求める大衆運動にならい、今日、中国でも「茉莉花(ジャスミン)革命」という行動が予定され、13の都市で一党独裁反対などを叫ぼうとインターネットで呼びかけられていた。

中国当局は同時進行で、名前が挙がった13都市の場所に、公安や私服警官を多数配置して厳戒態勢を敷いた。今日の午後2時(日本時間3時)にはどうなるのかなあ、と思って、ラジオを聞きながらネットを逍遥していたが、検索サイトがガンガン遮断されていた。まあ不発に終わるだろうと思ってはいたが、それでも上海では学生が4名身柄を拘束されたようだ。夕方になってから、ツイッターでいろいろと情報が入ってきたが、今のところ死傷者はいないようである。これはこれでよかった。

胡錦濤総書記は「よりいっそうインターネット管理を強化すべし」という揺るぎない決意を表明した。中国政府は、ここ最近のエジプト、チュニジアなど中東諸国の民主化運動に注視しており、国内では(公には)これらの事実は報道されていない。人権や民主という高度なスローガンよりも、仕事くれ、メシ食わせろ、汚職を無くせ、打倒腐敗官僚という民衆運動につながることを最も警戒している。

中国共産党が崩壊したとしても、四千年の官僚主義が崩壊しない限り、あまり現状は変わらないと思うのだが…それよりも無政府状態になるほうがもっと危うい気がするのだが…それは結局私が外国人だから言えることかもしれないね。

待つこと

かつて鈴木ヒロミツは「今すぐ逢いたい、朝まで待てない!」と絶叫し、あみんは「私待つわ、いつまでも待つわ♪」としたたかに歌った。

YouTubeで公開された尖閣諸島付近での中国漁船衝突事故映像問題。海上保安庁内部から流出した可能性が高いがハッキングされたことも考えられる。固いことを言うようだが、行政の長である石原都知事の「ビデオ流出はけっこうなことだ」と発言も如何なものかと思う。国民が政府に抗議し、それを受けて民主党政権が正式に公開するならいいけど、ルール違反はダメでしょ、やっぱり。

それはともかく今回の事態は民主党政権にとっては大打撃という事態になった。中共穏健派としては「せっかく国内の反日デモも沈静化してきたところなのに、また火をつけるとは日本もどういうつもりだ」、中共反日派としては「この映像を見てもわかるとおり『日本の巡視船がわが国の漁船に衝突』したのはあきらかだ!」…てな思いだろう。中国国民も「改竄されているに違いない」とか「日本の自己演出だ」などと言っている。なかには「小さな漁船が大きな巡視船に衝突していったなら英雄行為」という声(苦笑)もある。民主党は映像をすぐに公開しなかった時点で対外的にも国内的にも「失敗」だったと思う。菅首相も最初に「那覇地検の判断である」として、首相としてのリーダーシップを放棄した時点で「終了」である。

素人の戯言だが、民主党政権は「日本人にも面子があるのはおわかりでしょう。とりあえずわが党はそちらに対して日本の正当性を主張するから、よろしくね」、中共も「もちろん面子は最も重要なことのひとつです。それじゃわが党もそちらに対して中国の正当性を主張するからね」と根回しをし合い、菅直人と胡錦濤が丁々発止の論戦を行う。くだんの船長の処遇については、菅直人が首相の責任で有罪判決を下してから超法規的措置で国外退去させる。最終的な落としどころとしては「いまもっとも大事なことは両国の互恵関係です。両国の交流を推進しましょう。尖閣諸島問題については今後も両国の課題としましょう」とでもして終息に導けばよかったのだろうと思う。今となってはもう遅いけどね。

話は変わるが、アメリカ合衆国の中間選挙でオバマ大統領の民主党が大敗を喫し、日本と同様の国政のねじれ現象が出現した。華々しくスタートしたオバマ政権だが、国内経済に回復の兆しがみられないことから反発が広がり今回の事態に到った。オバマ政権がスタートしてからまだ2年もたっていない。「チェンジ」というキャッチコピーに期待したのに、われわれの暮らしはいっこうによくならない、何がチェンジだ!という思いがあるのだろうが、それにしてもまだ2年もたっていないのである。そもそもブッシュ前大統領の無能ぶりに失望したアメリカ国民は、オバマ大統領が「あっという間に」経済を回復させるとでも思っていたのだろうか。ドラッグで一気にハイな状態になることを望んでいたのかね。比較するには些かひど過ぎるが日本の民主党も同様で発足して漸く1年が過ぎたところだ。それほど国内の閉塞感、失望感が大きいということなのか、閉塞感や失望感に対する耐性が弱くなったということなのか…

いつからアメリカ国民も日本国民もこれほど「待てない」国民になったのか。ワンクリックで「チェンジ」するとでも思っているだろうか。私たちは「待つ」ことにかけては中国人(とインド人)には到底かなわないことも知っておかねばならない。そしてこの状態を見れば見るほど中共は「政権の国民投票なんぞするものじゃない、政権維持には一党独裁こそ最も盤石である」と確信するに違いない、ということも。

13億の面子

あくまでネットでの報道をみる限り、中国の反日デモも一段落したようだ。今までどおり官製デモの可能性は高いが、今回はネットや携帯電話での呼びかけに呼応するかたちで人々が集まったという点が特徴的だ。いかに当局が大量の専門員を使って反政府情報削除などの規制を続けようと、それにも限界があるということだ。

日本では大学院を出ても就職できない高学歴ワーキングプアが問題になっているが、中国でも同様の現象があり彼らは「蟻族」と呼ばれている。蟻族は大学を卒業したものの就職口がなく、都市のはずれに固まって暮らしている。多くは一軒家を何人かで借りるというシェアハウスをしており、集団で暮らし集団で働き先(殆どが肉体労働)に向かう。「蟻族」と呼ばれるのはこの所以だ。

近年中国では私立大学が多く設立され、1999年には大学の定員が45万人も増員された。その結果、高学歴である大学生も増えたが、かつてのように国が就職先を分配してくれる時代ではない。入り口が広がっても出口の先の受け皿が増えていないわけで、大学を出たところで何処にも行き場のない学生が大量に生産されることになる。

2007年には大学・短大等の進学率が50%を越えて過去最高となった日本と違い、人口13億と巨大な分母を持つ中国の大学生はまさに超エリートと言って過言ではない。江沢民時代に愛国教育を受け、大学に進学してエリートとなったものの、故郷に錦を飾る段階で就職の道を閉ざされた彼らが、今回の反日デモに乗じて政府への不満を叫んだことは想像に難くない。そしてその根底にあるものは「おれたち大学生の面子(メンツ)をどうしてくれる!」というものだろう。

13億の民には13億の面子がある。学生には学生の、農民工(出稼ぎ労働者)には農民工の、富裕層には富裕層の、官僚には官僚の、そして中国共産党には中国共産党の面子がある。13億の自己主張をうまく緩衝しなければならないわけで、これからも中国の動向には細心の注意を払う必要がある。

杞憂で済めばよいが…

百度(Bai-du)で「反日遊行(反日デモ)」と検索すると検索結果はいろいろ出てくるが、いざ記事や博客(ブログ)にアクセスしようとするとことごとく中国語で「この記事は削除されました」「存在しません」という画面が出てくる。ああもう面倒くさいなあ…たまにアクセスできると香港の新聞記事だったり在日中国人の博客だったりする。

それはそうと、中国の反日デモも収拾がつかなくなってきた感がある。反日を標榜しつつ「住宅価格を安くしろ」と叫んだり、いよいよ政府批判が見え隠れし始めたらしい。政府も必死でネット規制を行っており、当局にとってヤバいカキコミやサイトはどんどん削除されている。うーん、なんだかんだ言っても今後の中国が心配。また政府による弾圧なんか起こらなきゃいいが……ネトウヨみたいに「チョン氏ね」とか、そんなこと言ってる場合じゃない。

幼い頃から愛国教育を施されたり、報道規制して世界情勢に疎くさせたり、トンデモナイ経済格差を放置したり、自国民をそんな環境に置いといた報いかもしれない……どうなるんでしょ、中国。

義理が廃れば…

中国の反日デモ報道が少なくなってきた。官製デモと揶揄されながらも、各地で投石などが相次いで国内のネトウヨを苛立たせているが、まあ所詮中国共産党内の権力闘争、党内反日派が穏健派に揺さぶりをかけているわけで、そんなにイライラする必要はあまりないと思う。

同じ頃に民主活動家の劉暁波氏にノーベル平和賞授与というオプションが追加され、ノルウェー政府がとばっちりを喰わされた。中国人と思しきネトサヨが「中国の大都市並みの規模しかないノルウェーは生意気だ」などとネットに書き込むなど、中国は意気軒昂だ。

連日マスコミが中国=「乱暴な国」「理不尽な国」「理解不能な国」vs日本政府(民主党)=「弱腰外交」「不透明な対応」「売国奴」という図式で報道を繰り返している。殆ど大本営発表(苦笑)…ここぞとばかりに中国(中国人)には(世界の)常識が通用しないというスタンスでの喧伝が多いように思うが、そんなことは昔からわかっていたことである。

世界の中心は中華皇帝の住まう王宮であり、皇帝の威光は都を中心にして同心円状に及び、都から遥か遠く皇帝の威光が及ばない未開の地には、東夷、西戎、南蛮、北狄というまつろわぬ蛮族が住んでいるのである。東夷(日本)だの北狄(ノルウェー)だのが何をほざいておるのか、笑止千万、と言う伝統が脈々と息づいているわけで、中国とは「そういう国」であると理解しなければ、とてもつきあえるものではない。

中国思想史の溝口雄三が興味深いことを書いている。

bookたとえば、清朝中葉の戴震(1723-77)は、理の名の下に圧迫されている貧者賤者に同情して「人、法に死なば、猶これを憐れむ者あり、理に死なば、其れ誰かこれを憐れまん」(『孟子字義疏証』巻上)といっている。これは、法は人が作り人が裁くものだから間違いもあるし永久的なものでもない、だから法にふれて殺されてもまだ憐れんでくれる者がいる、しかし理に背いて死にいたったとなると、これは非人道的な行為を犯したとみなされるため、誰も憐れんでくれない、というのである。ここではあきらかに理は法に比べて上位にある。(溝口雄三『中国思想再発見』左右社)

このように「法」と「理」の問題ひとつをとっても日本人は「法」を遵守する傾向が強い。「それこそ日本は法治主義だからだ」という日本と、「法」より「理」が上位にあり巷間「人治主義」と言われる中国が、相互のコミュニケーションに齟齬を来すことは当然なのである。

つまり、尖閣諸島は中国固有の領土であり、それを主張・奪還する行為は理である。即ち日本の法律などというものは日本の都合であり、たとえ法に背いたとしても、尖閣諸島を日本に奪われることは理に背くことである……

ところがこれは、実は日本人にも理解できる感覚なのだ。そうです、一連の任侠映画です。ヒロイズムです。「悪法もまた法なり」と理性的にふるまっても、高倉健が「義理が廃ればこの世は闇だ」と独りで殴り込みに行く姿に、われわれは喝采を贈ったのではなかったか。

例えばこういうことをまるごと納得できれば、中国人とは何とオモシロい人々かと思えるようになるのだけどねえ……

砂の民

中国四川省成都市や陝西省西安市で大規模な反日デモが起こり、東京都内でも一部の団体による反中集会とデモ行進が行われた。中国の反日デモは、とりあえず市民にガス抜きをさせて適当なところで政府が抑え込むという、まあいつものやり方だろうと思うが、反中デモについては日中関係に些かでも影響を及ぼすことになるだろう。ただ反日デモは中央委員会第5回総会開催中に発生した。いつもなら政府の公式行事期間中はデモを抑え込む傾向にあるのに、今回はなぜ?という疑問は残る。

中国のデモは一部の反日グループと愛国教育世代の大学生が中心になっているだろうと思われる。こちらの反日デモじたいはいつものことなので日本も過剰に反応せず、中国流に「嵐が去るのを待つ」という対応をとっていればいい。しかし今回は中国政府のやりすぎた報復措置と、民主党政権のヘナチョコ外交への怒りが相互作用を起こしてしまった。特に民主党政権が毅然とした対応をとれなかったことが最大のネックだ。

わかったふうに言えば「きっと政府レベルではいろいろと難しい局面があったのだろう」ということだが、その「難しい局面の対応」を国民から任されているのが政府であり「民主党政権」なわけで…それにしても民主党政権もスタートから辺野古で躓き、小沢一郎の金銭スキャンダル、危機感ゼロの鳩山前総理辞任、菅総理の消費税発言と、まあなんとも危なっかしい政権運営が続いている。そこへきてこの尖閣諸島問題で更なるダメージを受けた。うーん、やはり小沢一郎があちらこちらで足を引っ張っている印象がある。国民から支持されていない以上、さっさと地下に潜行すればよかったのだが、ねえ。

中国も尖閣諸島問題で、世界に向けて「乱暴者」のイメージ…中国としては「大国としての表明」くらいの認識なんだろうが…を自ら演出し、劉暁波のノーベル平和賞に過剰に反発して更に独裁国家の顔を印象づけてしまった。たぶん北朝鮮の崩壊はカウントダウンの段階に来ていると思うので、このままいくと近い将来、世界最大の独裁国家に躍り出るのは間違いない。いくら北朝鮮やビルマが独裁国家だと言っても中国に比べたら所詮脇役。


book中國人最崇拜的是家族主義和宗族主義,所以中國只有家族主義和宗族主義,沒有國族主義。外國旁觀的人說中國人是一片散沙,這個原因是在什麼地方呢? 就是因為一般人民祇有家族主義和宗族主義,沒有國族主義。(『三民主義』「民族主義」 第一講)


孫文の有名な『三民主義』(1924)の一節だが、中国人にとって大切なものは「家族主義」と「宗族主義」であって「国家」「民族」という意識が無い。そう考えると毛沢東が中国をまとめあげたのは驚異的なことである。また「中国人はバラバラの砂」という言葉どおり、現代の中国の政治家も国内統治と外交の両方を行うにあたって「いろいろと難しい局面がある」のだろう(苦笑)

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