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2010年11月

待つこと

かつて鈴木ヒロミツは「今すぐ逢いたい、朝まで待てない!」と絶叫し、あみんは「私待つわ、いつまでも待つわ♪」としたたかに歌った。

YouTubeで公開された尖閣諸島付近での中国漁船衝突事故映像問題。海上保安庁内部から流出した可能性が高いがハッキングされたことも考えられる。固いことを言うようだが、行政の長である石原都知事の「ビデオ流出はけっこうなことだ」と発言も如何なものかと思う。国民が政府に抗議し、それを受けて民主党政権が正式に公開するならいいけど、ルール違反はダメでしょ、やっぱり。

それはともかく今回の事態は民主党政権にとっては大打撃という事態になった。中共穏健派としては「せっかく国内の反日デモも沈静化してきたところなのに、また火をつけるとは日本もどういうつもりだ」、中共反日派としては「この映像を見てもわかるとおり『日本の巡視船がわが国の漁船に衝突』したのはあきらかだ!」…てな思いだろう。中国国民も「改竄されているに違いない」とか「日本の自己演出だ」などと言っている。なかには「小さな漁船が大きな巡視船に衝突していったなら英雄行為」という声(苦笑)もある。民主党は映像をすぐに公開しなかった時点で対外的にも国内的にも「失敗」だったと思う。菅首相も最初に「那覇地検の判断である」として、首相としてのリーダーシップを放棄した時点で「終了」である。

素人の戯言だが、民主党政権は「日本人にも面子があるのはおわかりでしょう。とりあえずわが党はそちらに対して日本の正当性を主張するから、よろしくね」、中共も「もちろん面子は最も重要なことのひとつです。それじゃわが党もそちらに対して中国の正当性を主張するからね」と根回しをし合い、菅直人と胡錦濤が丁々発止の論戦を行う。くだんの船長の処遇については、菅直人が首相の責任で有罪判決を下してから超法規的措置で国外退去させる。最終的な落としどころとしては「いまもっとも大事なことは両国の互恵関係です。両国の交流を推進しましょう。尖閣諸島問題については今後も両国の課題としましょう」とでもして終息に導けばよかったのだろうと思う。今となってはもう遅いけどね。

話は変わるが、アメリカ合衆国の中間選挙でオバマ大統領の民主党が大敗を喫し、日本と同様の国政のねじれ現象が出現した。華々しくスタートしたオバマ政権だが、国内経済に回復の兆しがみられないことから反発が広がり今回の事態に到った。オバマ政権がスタートしてからまだ2年もたっていない。「チェンジ」というキャッチコピーに期待したのに、われわれの暮らしはいっこうによくならない、何がチェンジだ!という思いがあるのだろうが、それにしてもまだ2年もたっていないのである。そもそもブッシュ前大統領の無能ぶりに失望したアメリカ国民は、オバマ大統領が「あっという間に」経済を回復させるとでも思っていたのだろうか。ドラッグで一気にハイな状態になることを望んでいたのかね。比較するには些かひど過ぎるが日本の民主党も同様で発足して漸く1年が過ぎたところだ。それほど国内の閉塞感、失望感が大きいということなのか、閉塞感や失望感に対する耐性が弱くなったということなのか…

いつからアメリカ国民も日本国民もこれほど「待てない」国民になったのか。ワンクリックで「チェンジ」するとでも思っているだろうか。私たちは「待つ」ことにかけては中国人(とインド人)には到底かなわないことも知っておかねばならない。そしてこの状態を見れば見るほど中共は「政権の国民投票なんぞするものじゃない、政権維持には一党独裁こそ最も盤石である」と確信するに違いない、ということも。

13億の面子

あくまでネットでの報道をみる限り、中国の反日デモも一段落したようだ。今までどおり官製デモの可能性は高いが、今回はネットや携帯電話での呼びかけに呼応するかたちで人々が集まったという点が特徴的だ。いかに当局が大量の専門員を使って反政府情報削除などの規制を続けようと、それにも限界があるということだ。

日本では大学院を出ても就職できない高学歴ワーキングプアが問題になっているが、中国でも同様の現象があり彼らは「蟻族」と呼ばれている。蟻族は大学を卒業したものの就職口がなく、都市のはずれに固まって暮らしている。多くは一軒家を何人かで借りるというシェアハウスをしており、集団で暮らし集団で働き先(殆どが肉体労働)に向かう。「蟻族」と呼ばれるのはこの所以だ。

近年中国では私立大学が多く設立され、1999年には大学の定員が45万人も増員された。その結果、高学歴である大学生も増えたが、かつてのように国が就職先を分配してくれる時代ではない。入り口が広がっても出口の先の受け皿が増えていないわけで、大学を出たところで何処にも行き場のない学生が大量に生産されることになる。

2007年には大学・短大等の進学率が50%を越えて過去最高となった日本と違い、人口13億と巨大な分母を持つ中国の大学生はまさに超エリートと言って過言ではない。江沢民時代に愛国教育を受け、大学に進学してエリートとなったものの、故郷に錦を飾る段階で就職の道を閉ざされた彼らが、今回の反日デモに乗じて政府への不満を叫んだことは想像に難くない。そしてその根底にあるものは「おれたち大学生の面子(メンツ)をどうしてくれる!」というものだろう。

13億の民には13億の面子がある。学生には学生の、農民工(出稼ぎ労働者)には農民工の、富裕層には富裕層の、官僚には官僚の、そして中国共産党には中国共産党の面子がある。13億の自己主張をうまく緩衝しなければならないわけで、これからも中国の動向には細心の注意を払う必要がある。

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