2020年9月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30      
フォト
無料ブログはココログ

最近のトラックバック

« 昭和がだんだん遠くなる | トップページ | 08憲章 »

ヤマトさんちの松茸山

尖閣諸島問題はとうとう中国人船長の釈放という結末を迎えた。これが何を意味するか。まともに考えれば尖閣諸島は国際法上も日本の領土であり中国がいちゃもんをつける筋合いはない。そもそも中国が領土問題を持ち出したのは、1971年にこの付近に海底資源が埋蔵されているという国連の調査結果が出てからである。日本にしてみれば中国や臺灣船籍(軍艦も含めて)が領海侵犯を繰り返しているから警告を続けているだけのことだ。ではなぜかれらは繰り返し領海侵犯を続けるのかといえば、そもそも中国や臺灣が日本の領土であることをハナから認めていないからだ。

言ってみれば、周囲もここはヤマトさんちの地所だと認めていた(誰も欲しがらなかった)ちっぽけな山が、実は良質の松茸がごっそり生えることがわかったとたん、近所のチュウカさんとタイワンさんが突然「あそこは実は昔からうちのもんだった。うちに伝わる古文書にもそう書いてある。だからオラたちが松茸採りに行くだ。文句あっか」と言ってきたと思えばよろしい。

それからというもの、チュウカさんとタイワンさんが夜も昼もその松茸山にちょっかいを出すので、ヤマトさんも番犬を放し飼いにしたり、人を雇って見回りに行ったりするようになった。ヤマトさんは話し合いで解決したいと思っているので、チュウカさんやタイワンさんに再三話し合いを続けようと持ちかけているが、チュウカさんとタイワンさんは話し合いなどする気はない。ただただ「古文書によればあそこはウチのもんだ」と言い続けるのみ。

実はチュウカさんとタイワンさんは、いまはちょっと仲違いしているけど、元を正せば親戚なので、松茸というお宝を共有しようということでこのときばかりは仲直りしているからややこしい。とうとうチュウカさんの跳ねっ返りの長男が松茸山に足を踏み入れたので、それを見つけたヤマトさんちの見回りにとっつかまってしまった。

怒ったチュウカさんは「オラの息子を泥棒よばわりとは許さねえ!しかも母親が死んで葬式出さねばならねってのに、息子を返さねえとはどういうことだ!」「そっちがその気なら考えがあるっぺよ、おめえんとこの売りに出す野菜は金輪際買わねえ、もう肥料も分けてやらねえ。そもそもうちの肥料がなかったらおめんとこは野菜作れねえべ」と言いがかりをつけてきた。最初は強気だったヤマトさんも、これには困って親族会議に明け暮れる毎日が続いた。そして…

民主党には中国への太いパイプがない。小沢一郎という強力なパイプがあるのだがそれはいま使えない。もしも菅直人がこのタイミングで小沢一郎を使うことはありえない。使えばなんとかなったかもしれない。しかし一連の騒動直前に民主党総裁選挙で小沢一郎を蹴落とした民主党として、すぐに小沢一郎を対中戦略に使うことは難しかっただろう。つまり、天は中国に味方したのである。民主党はのらりくらりと中国の脅しを躱しつつ、中国が「世界の悪役」になるのを待てばよかったのである。そして「世界の悪役」になる直前でメンツを立て、国内法で船長を裁き有罪としたうえで、超法規的措置でもなんでもして送還すればよかった。

驚異的な経済成長を遂げた中国はその経済力を世界に見せつけてきている。特に長期不況が続く日本は中国人富裕層の購買力をあてにしなければならなくなった。世界の大国アメリカもブッシュ政権時代から翳りを見せ始めた。9.11とその後のイラク侵攻により、アメリカの権威はかつての輝きを失いつつある。そうなるとしたたかでいやらしい外交をさせれば世界のトップクラスである中国は、日本やアメリカが弱っていると見て取ればここを先途と攻めて来る。強気の発言が見えて来る。何しろ中国には日本やアメリカの莫大な資本が投資されているのである。「中国のやり方がイヤなら輸出をとめるよ、それで君たちやっていけるのかね、国民が安い製品を買えなくなるんだよ、それでもいいのかね(笑)」という脅しを効かせるのである。

日本はバブル経済崩壊後、中国大陸にどんどん工場を進出させ現地の安い労働力を使って大量の製品を作っている。「Made in China」は世界を席巻している。アメリカの経済ジャーナリスト、サラ・ボンジョルニは、身の回りに氾濫する中国製品の多さに驚き、1年間「Made in China」を買わずに暮らした体験を『チャイナ・フリー』(東洋経済新報社)にまとめている。それは驚くべき忍耐の日々だった。

同じことは私たち日本人にも言える。いまや私たちの生活に欠かせないパソコンも、その基盤や部品はたいてい中国や臺灣で作られている。先進諸国はこの20年間に中国の安い労働力をフルに使って資本を投資して経済を発展させてきた。しかしそれは同時に、そして知らず知らずのうちに、自らの足枷を中国に築いてきたのである。いま「Made in China」を全て拒否する覚悟はたぶん日本政府にはないだろう。

中国共産党もかつての威厳は無くなりつつあるのだな、という思いが強い。ネット社会の世論にだいぶ追いつめられているようだ。温家宝首相みずから国連で経済制裁を発言するはめになったり、フジタの社員を拘束(これは中国が北朝鮮と同じレベルになったということ)したり…つまりこれら一連の騒動は、中国が世界に向かって「ウチのシマに手を出すな! もし手を出してみろ、ウチは何だってやるからな、ナメンナヨ!」と宣言したということなのだ。

これって、マズいことだと思う。東西冷戦の時代ならともかく、今はグローバリズムの時代なのである。中国エラい!と思っているのはたぶん中国人…しかも江沢民時代に愛国教育を受けた世代が大半を占めていると予想できる。ふだんは中国同様に日本を蹴落とそうと思っている韓国ですら、これはちょっとマズいなあ…と思っているはずだ。

だって中国にとって韓国はしょせん中華王朝の支配下にある属国なのだ。中国が日本を叩きのめすと、次は韓国か?という危機感がないわけがない。東南アジアが特に顕著であって、インドネシアやベトナムも中国の領海侵犯に頭を悩ませている。ここでもレトリックは同じで「この海域は昔から中国のものなのだ!」というもの。しかも軍艦まで繰り出すので危なくてしょうがない。

知り合いの中国人もこの事件について「困ったね(苦笑)、日本に住んでいる中国人が嫌われ者になるのはイヤだよ、今だって差別されることあるのにね…」と心配している。

現在だけをみると「対日勝利!」「補償と賠償金をぶんどれ!」「日本は脅せばいくらでも金を出すぞ!」と驚喜している中国だが、長期的にみると「やっぱり中国ってひどい国だよね」「中国とのつき合い方をみんなで考え直そう」「あんな国に円借款なんかしなくていいでしょ?」という対中警戒心がどんどん醸成されていく。中国にとってもあまりいいことはないのだけれど、ね。

ま、これを潮に農業や製造業の海外依存を見直して、自給自足に切り替えていく政策を本気で行うという良い機会にすればいい。それが現在の日本を建て直し未来につなげることになるのだ。でも民主党にそれができるかなあ…という不安を拭いされないところが私たちの不幸でもある。

« 昭和がだんだん遠くなる | トップページ | 08憲章 »

中華世界」カテゴリの記事

コメント

第二次大戦に勝った国の勢いには、敵わないってことですね。
一緒に負けたイタリア・ドイツは、ヨーロッパという一くくりに入り込めて、その辺は都合がよかったのかも。
東アジアは、ヨーロッパほど国家観・宗教観が合わないから、なお更上手くいかない。
こんな事、今さら言っても始まらないから、尖閣のニュースが流れるとチャンネル変えてやり過ごす事にしてます。
変えた先で、検察やってて、これもカチンと来ますけどね。

中国人は親しくなると実に良い人たちなんだが(笑)

胡錦濤は日本と仲違いすることは望んではいない(親日派ではないけど)と思うのですよ。でも日本寄りの政治をすると、党内の一部の勢力に足を引っ張られることがある(胡耀邦がそうでした)ので…

東アジアはヨーロッパほどまとまりがないからねえ…ま、これで日本人の多くが、中国人と日本人はまったくと言っていい程違っていることがわかったから、それはそれでいいんじゃないのかな?いままで良い意味でも悪い意味でも誤解していた人、多かったと思うよ。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ヤマトさんちの松茸山:

« 昭和がだんだん遠くなる | トップページ | 08憲章 »