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正しい国際交流

佐藤亜紀『外人術』(ちくま文庫)を読む。

「『外人』などと言うやばい語を題に使ったのは他でもない、世の中にはどうしても理解できない事柄が幾つか存在するが、そのうちのひとつに、新聞の投書で『外人と呼ばないで欲しい』と訴える外人の存在があるからである。何年暮らしても日本人として扱ってもらえないのは確かに辛かろう。悲しいかもしれない。が、これはそもそも最初の意図に誤りがあるがゆえの故の哀しみであって、どこの誰であろうと、余所の国へ行ったら何十年暮らしても外人なのである。日本だけが特殊と思ってはいけない」…いきなり冒頭からこう宣言されてしまったら反応は三つ。

1 なんて酷いことを言うのだこいつは! 
2 マジメに暮らしている外人さんがかわいそう! 
3 ああ、そうだなあ、そのとおりだなあ 

私はもちろん3である。なぜか。それは論理的に正しいから。だから読んだ。うーん、これは面白い旅行記であり旅のガイドブックであり旅行論である。

金のない外人はただの不良外人である/善良なる国際交流がうっとうしいむきは、二等車には乗るな/善良な人々との諍いの物語/観光地でもない村で英語を話す奴は怪しい/外国で友達を作ろうと思うな/ヨーロッパ圏での英語は日本並にしか通じない/重要なのは、語学なしで意思を疎通させる技術および覚悟である…目次を眺めるだけでますます面白そうだ。

要するに(要するな、と著者には罵られるだろう)旅には日常から離れることに起因する期待と憧れが付帯しているのだが、ゆめゆめ過大な期待と憧れを持ってはならず、多少の期待と憧れとともに常に冷静でなければならない、ということが、著者の豊富な経験及び一流のレトリックを駆使して綴られているのである。だからこれを読んで怒ってはいけない。別に本の内容についてどのような感情を持とうがそれは読者の自由だが、できれば怒らないほうが面白いし役に立つ。これ、国際交流の教科書にしてもいいな。

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