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美は形式に非ず

片山広明…といってもジャズファンじゃなければ知らないだろうが、1980年代のロック小僧ならRCサクセションのステージ、忌野清志郎のバックでサックスを吹きまくっていた二人の男に見覚えがあるだろう。スキンヘッドに眼鏡をかけていたのが梅津和時(アルトサックス)、モジャモジャ頭の大男が片山広明(テナーサックス)だ。

1970年代、梅津和時らとともに大編成フリージャズコンボ『生活向上委員会大管弦楽団』に参加。その圧倒的なテナーサックス演奏により(一部ジャズファンの間で)有名になる。1980年代は盟友である梅津和時と『どくとる梅津バンド(D.U.B)』で活躍、1990年代からは『渋さ知らズ』(メンバー総数不定。舞台にはミュージシャンからダンサーまで登場する形容しがたい巨大楽団)、林栄一と組んだ『デ・ガ・ショー』でますますその存在感を高めている。

というわけで片山広明『キャトル』を聴いた。

くたびれ果てて家路に着く。立春は過ぎたとはいえ2月の夜はまだ寒く風は冷たい。iPodの中から最近買った片山広明の『キャトル』をチョイス。フラフラし乍ら夜道を歩き出す。板橋文夫の美しいピアノが聴こえてきた。ああ、良いなあ…なんて美しい音なんだ…やがて太く厚く暖かく鋭いテナーサックスが美しいメロディを奏で始めた。思わずため息が漏れる。静かに盛り上がる演奏にだんだん疲れた身体と心がほぐれてきた。片山広明の演奏は次第に熱を帯びて絶叫し始める。井野信義のベースは殆どラインを刻まない。アルコ弾きで縦横無尽にフリーキーなそして美しい音を響かせている。咆哮するテナーの周りを星雲のように取り囲むベースの向こうで、ピアノがキラキラと銀河のように鳴っている。ふと顔を上げると街灯に照らされた公園の空の上に丸い白い満月が輝いていた。

奇跡のように美しい1曲目「For You」から始まるこのアルバムを名盤と呼ばずして何と呼ぼう。続く「パリの空の下」はシャンソンの名曲、オシャレな雰囲気はカケラもない場末のキャバレーのようなテナーサックスが絶叫する。美しいということは形式ではないんだ、ということがよーくわかるこのアルバム、実は2002年に発売されていたんだ、片山広明、畏るべし…

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