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名も知らぬ遠き島より

インドネシア共和国
首都:ジャカルタ
人口:2億4,000万人
公用語:インドネシア語

私がインドネシアについて知っていることはほんのわずかだ。まずクロンチョン。インドネシアのポピュラー音楽の名曲『ブンガワン・ソロ』は日本でもよく知られている。ソロ河の美しい流れを唄った歌で、グサン・マルトハルトノのオリジナルヴァージョンもいいが、潘秀瓊の漢語ヴァージョンもすてきだ。

それからダンドゥットというちょっとインド音楽っぽいテイストとロックビートを効かせたポピュラー音楽も良い。スーパースター、ロマ・イラマや女王エルフィ・スカエシが有名。インドネシア料理といえばナシゴレンくらいしか知らない。太平洋戦争中は日本軍が統治していたこともあるから、ある世代の日本人にとっては懐かしいイメージもあるようだ。

それにしても不思議ではないか。2億4,000万人という人口は中国、インド、アメリカに次いで世界第4位。太平洋戦争でも日本と深い関係にあった国なのに、音楽と料理と観光地くらいでしか知られていない。本島と無数の島々で構成されるインドネシアは他民族他言語国家でもある。

インドネシアとニューギニアはどこがどう違うのかというと、地図をみればわかる。ニューギニア島の半分がインドネシア領で、半分がパプアニューギニアなのだ。スマトラ島、ボルネオ島、ニューギニア島はそれぞれ日本の国土に匹敵する大きさ。この三つの島と無数の島々がインドネシア共和国を構成しているのだ。しかも首都ジャカルタはジャワ島にあり、ボルネオ島の東にはセレベス島がある。

これじゃあひとくちにインドネシアと言われても、なんだか茫洋としたイメージしか浮かばない。インドネシアに行きました、と言ってもジャカルタに行ったのか、スマトラに行ったのか、ボルネオに行ったのか、はたまたニューギニア島に行ったのかでは全然違うのではなかろうか。

ジャワ島の東にスラバヤという都市がある。スラバヤと言えば『スラバヤ殿下』という、昭和30年に森繁久彌主演で制作された怪作がある。ペテン師の森繁がスパイに追われてのドタバタを繰り広げ、スラバヤから漂着した土人に化けて一躍スターになるという、よくわかったようなわからないような映画。顔を黒く塗って腰蓑つけて思い切りステロタイプの土人姿の森繁が、日劇の舞台でデタラメ外国語の歌を歌いまくり踊りまくるという、いまでは考えられない作品。

たぶんその頃の(あるいは現在の)日本人は、インドネシアもジャワもボルネオもパプアニューギニアもフィリピンも、きっとハワイやグアムまでも「南洋」というイメージで一括りにしていたのだろうなあ。

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