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名人の技倆

立川志の輔『らくごのごらく4〜抜け雀』
名人が屏風に描いた雀が朝になると抜け出して空を飛ぶという「竹の水仙」「ねずみ」と同類の噺。あまたの名人が高座にかけるお馴染みの噺だが、これを志の輔が演じると「おみごと!」の一語に尽きる。

ラスベガスのカジノに始まりゴルフからタイガー・ウッズと続くマクラも秀逸だし、なにより登場人物の絵師、旅籠の主人と女房、絵師の父、宿場の人々の造形のなんと活き活きとしていることか。


『らくごのごらく5〜新・八五郎出世』
長屋の大工・八五郎の妹が殿様のお世継ぎを産んでお屋敷に挨拶に出向くことになる。長屋住まいの町人が殿様や侍など住む世界が違う人々のなかで、畏まることも気取ることもできずにいつもの伝法な口調でお祝いを述べる。ただただ母親と妹に寄せる愛情だけがほとばしり、殿様はだんだんこのがらっぱちな大工が好きになる。

冒頭、長屋の大家との珍妙な問答、お屋敷での侍との問答、そして延々と続く殿様相手のモノローグが聴く者に笑いと感動の渦に巻き込む。なまなかな技倆でできる噺ではない。聴く者にどれだけの余韻を残せるかで噺家の技倆が問われる演目。志の輔、まさに畏るべし。


立川談志『松曳き/九州吹き戻し』
古典落語を端正な江戸前の藝として演じることに関しては、やはり古今亭志ん朝のほうが談志より上であったろう。もっとも談志は志ん朝のように演じることを指向しないのだから、そういう意味では比較することじたい無意味と言える。志ん朝プロパーはたくさんいるが談志プロパーは実は少ない。愛弟子の志の輔でさえ談志の意志は継いでいるが、基本は志ん朝のような本寸法の高座を務めている。

『九州吹き戻し』は談志の愛弟子・立川談春の高座で初めて聴いた。その後CDにも収められていて実は私の好きな噺でもある。長尺で起伏の少ない噺なのでこれを演じるのは難しいだろうなあ、と素人にもわかる。そしてこういう噺を最後まで聴かせるのは落語家にとっても腕の見せ所だ。

談春の高座には圧倒された。凄いと思った。そして談志の演じる「九州吹き戻し」を初めて聴いた。談春のそれとはまったく違う高みに驚愕し、CDを聴き終わって思わず拍手をしてしまった。

落語は「屏風に描いた雀を活き活きと空に飛ばす」という話藝。
立川談志こそ稀代の名人である。

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