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谷中とモンクと志ん朝と

連休中に友人を案内して谷中から根津、千駄木界隈を散策した。

JR日暮里駅を振り出しに長谷川一夫や高橋お伝の墓を左右に眺めながら谷中霊園を抜けて、看板に惹かれて愛玉子なんぞを食べてから上野桜木に出まして、そこから言問通りを下ってふたたび谷中の坂道露地裏を経巡り、三浦坂を登って大名時計博物館で学問なぞしてから不忍通りを渡りまして、根津神社境内の満開のツツジを愛でまして、ふたたび谷中の露地裏を歩いて三崎坂を下って団子坂下交差点を右に折れまして、くねくね蛇行するへび道を歩いて谷中銀座に出たときはさすがにくたびれた。くたびれついでに谷中銀座の酒屋の脇で、友人たちと揚げたての名物メンチカツを肴にビールをクイッと飲ると、こいつぁもうたまりません。

それから夕焼けだんだんを上って日暮里の駅に戻ったのだが、夕焼けだんだんのあがりっぱなに『シャルマン』という看板を見つけた。おお、ここはかの古今亭志ん朝師匠が贔屓にしていたというジャズ喫茶ではないか。

大のモダンジャズファンであった志ん朝師匠が、これまたジャズ界唯一無比のユニークなスタイルで知られる名ピアニスト、セロニアス・モンクについて語った珍しいインタビューがある。

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モンクを最初に聴いたのは、日暮里の「シャルマン」というジャズ喫茶で、『セロニアス・イン・アクション』というレコードです。この時のことはよくおぼえてます。
中学生くらいからジャズを聴き始めて、高校生の頃JATPの初来日公演を聴きに行ったりして、それから二〇代前半くらいまでが一番よく聴きましたね。有楽町の「ママ」とか上野の「イトウ」とか、ほうぼう聴き歩いてました。コンサートもよく行きましたね。
当時、家が谷中だったんで、「シャルマン」にはもう毎晩のように行って、ご主人とも大変懇意にさせていただきました。
一九五〇年代後半から六〇年代初めあたり、アート・ブレイキーとかソニー・ロリンズとかジョン・コルトレーンとか、何かそれまで聴いていた音楽と比べて全く違う感じのものが、急激にレコードのかたちで入ってきまして、「へぇーっ、こういう人達がいるんだ」ということで、すっかり夢中になりました。当時一番好きだったのはマイルス・デイビスですね。あのミュート・トランペットのカッコよさね。そういうのを聴いて「わーっ、カッコいい、気持ちいい」っていってノッてた時に、フッと不思議なピアノが耳に入った。それがモンクです。
ある日、「シャルマン」に行ったら『セロニアス・イン・アクション』がかかってた。それまで、モンクってついぞ聴いたことがなかったんですよ。とっても不思議な音でね。
なんでここへ行くのに、ここの横町を曲がって、こう曲がって、こう曲がって、こう行かなければいけないんだ、こっちからも行けるじゃないか、というようなのね。一、二、三と歩いていって、当然この次は右足が出るだろうと思っているものを、急に止められて、左足が出ていっちゃうんで、聴いてる方は「おっとっと」となる。普通だったら、当然ここでこういうフレーズがくるんじゃなかろうかと思って、ノッてこうとすると、そこでとてつもない不思議な音がくる。
ただ、私は音楽でも絵でも、前衛的なものは嫌いなんで、最初は「俺、こういうの嫌いなんだよなあ」と思いながら聴いていた。それが、聴いてるとちっとも不快じゃなくて、楽しくなってきた。で、店のご主人に「これ、何ていう人?」「セロニアス・モンク」「セロニアス? モンク? ヘンな名前! 他にもあるの?」「こういうのがあるよ」なんていいながら、いろいろ聴いてた。そうやって聴いてるうちに「ああ、これは志ん生だな」と思ったんですよ(講談社編「セロニアス・モンク ラウンド・アバウト・ミッドナイト」講談社 , 1991所収「『ああ、これは志ん生だな』って思った」より)
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さすが志ん朝師匠、モンクの個性をみごとに捉えたうえに、父であり師匠であり唯一無比の個性派落語家であった古今亭志ん生師匠になぞらえるあたり、まことに慧眼。そういえば谷中銀座のメンチカツとビールも、これまたみごとなハーモニーを醸し出してしておりましたなァ。

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