2020年9月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30      
フォト
無料ブログはココログ

最近のトラックバック

« 年末の読書 | トップページ | 冬の鉄道行脚 »

新年の読書

中島京子『FUTON』(講談社文庫)を読む。
日本自然主義文学の嚆矢といえば、田山花袋の『蒲団』ですが、これはそれから100年後に書かれた中島京子の『FUTON』です。『蒲団』では、主人公の小説家@田山花袋が、内弟子の文学志望の女学生@実在に恋をする。ところが女学生@実在は恋人の大学生と恋愛関係になり、小説家@田山花袋はいてもたってもいられない。小説家@田山花袋はこれを「恋ではなかったか」と自問自答するが、読者はこれを「オヤジの性欲にまみれた妄想@片思い」と言う。
『FUTON』では、日本文学を研究するアメリカ人教師デイブ・マッコーリーが、留学生の日系アメリカ娘エミに恋をする。ところが日系アメリカ娘は恋人の日本人留学生と恋愛関係になり、デイブはいてもたってもいられない。中年オヤジの恋と妄想は時空を超える。
学会にかこつけてはるばる東京までエミを追いかけてきたデイブは、エミの曽祖父ウメキチ、自称アーティストのイズミ、イズミの恋人で同性愛者のハナエ、バーガーショップの店長・タツゾー(ウメキチの息子でエミの祖父)たちと出会い・・・明治~大正~昭和~平成という時代が、東京を舞台に錯綜する。『蒲団』ではほとんど無視されている小説家@田山花袋の妻を主人公にした、デイブの『蒲団の打ち直し』というメタ小説が同時進行する仕掛けも面白く、それでいて実に哀しく刺激的。
近頃面白い小説がないとお嘆きの貴兄には絶対お奨めの一冊であります。・・・いやはや、こんな面白い小説を読んだのはひさしぶりだ。

小島信夫『アメリカン・スクール』(新潮文庫)を読む。
小島信夫の『抱擁家族』を読んだときの不思議な感覚から1年、今回手にとったこの初期短編集ときたら、またまた私を不思議な感覚世界に誘ってくれたのである。ちょっと梅崎春生を思わせる、私小説と幻想小説の境界線を行ったりきたりする作風が面白い。主人公の意識は常に現実と妄想、現実とフィクション、過去と現在を往来しつつ、読者に哄笑を催させ乍らも気がつくと腋の下に嫌な汗が・・・

« 年末の読書 | トップページ | 冬の鉄道行脚 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 新年の読書:

« 年末の読書 | トップページ | 冬の鉄道行脚 »