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屈託阿房列車

「阿房と云ふのは、人の思はくに調子を合はせてさう云ふだけの話で、自分で勿論阿房だなどと考えてはゐない。用事がなければどこへも行つてはいけないと云ふわけはない。なんにも用事がないけれど、汽車に乗つて大阪へ行つて来ようと思ふ(内田百間「特別阿房列車」)

疲れて屈託しているときは電車に乗るに限る。映画を観ても本を読んでも内容が頭に入らない。時刻表を読んで乗り換えを調べてあとはひたすら電車に乗り続けるのが良い。家でぼんやりしていても屈託が続くだけだ。最近読み返している内田百間の名随筆『阿房列車』のなかに御殿場線のことが出てくる。百間先生に倣い私も「なんにも用事がないけれど」御殿場線に乗りに出かけることにしよう。

朝から川崎に出て、薄曇りの空の下、東海道本線に乗って国府津で御殿場線に乗り換える。国府津〜御殿場〜沼津を結ぶ御殿場線はかつて東海道本線であった。しかし昭和9年の丹那トンネル開通により、東海道本線は現在の熱海経由ルートになった。そのとたん、かつての国府津〜御殿場〜沼津を結ぶ路線は、本線からはずれて御殿場線という迂回路線になってしまった。早い話が表舞台から転落したのである。

国府津駅の長いホームで御殿場線を待つ。ここは「区間阿房列車」のなかで、百間先生とヒマラヤ山系(内田百間の汽車旅行のお供をつとめた平山三郎氏)が、御殿場線に乗り遅れて雨の降るなか延々と待ち続けたところ。百間好きとしては感慨もひとしおである。

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やがて沼津方面からやってきた列車に乗り込む。御殿場線はJR東海なので車掌の雰囲気も違う。ハイキングに出かけるバアサンがやけに多く、ついでに地元のバアサンもたくさん乗っている。ついでにハイキングに出かけるらしいガキがうじゃうじゃ。なんだか騒がしいかぎりだ。谷峨でガキはたちいっせいに降りた。谷峨は谷川沿いにある山のなかの駅。ガキたちはこのへんでハイキングをするらしい。駿河小山ではバアサンたちがどどっと降りていき、車内はいっきょに寂しくなる。何かあるのかしらん。

御殿場で降りて沼津行きを見送り、ホームで国府津で買った弁当を食べる。人気のない御殿場駅で独り駅弁を食べていると、このまま誰も知らない土地へ行ってしまいたくなった。相当疲れているらしい(苦笑)。やがて沼津からやってきた御殿場止まり列車が入線してきた。これがそのまま折り返しの沼津行きになるのである。車窓から見える富士山がおみごと。やがて列車は静かに沼津駅に滑り込んだ。

わずかな乗り換え時間のあいだ、沼津駅のホームを散策。キオスクと喫茶店と立ち飲みを兼ねたスタンドがあり、日曜の昼間からオッサンがふたりで良い気分になっていた。なんとなく昭和の雰囲気が濃厚に漂っているのを感じる。

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間もなくやってきた三島行きに乗り換える。三島の駅舎は風格のあるいい駅舎だ。

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JR東海は発車ベルが鳴らない。「三島行きはまもなく発車いたします」というアナウンスの後、列車は静かに静かにホームを離れて走り出すのだ。首都圏の駅に慣れてしまっているとなんとなく新鮮。しばらく三島駅舎を観察したあと、衝動的に伊豆箱根鉄道駿豆線に乗った。伊豆箱根鉄道駿豆線は、住宅街と田園地帯を走る江ノ島電鉄みたいな電車だ。

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終点はかの有名な修善寺。岡本綺堂の『修善寺物語』でも知られる観光地だ。修善寺に15分滞在し、駅舎や看板を観察してからすぐに三島に戻る。せっかく修善寺に来たのに何も見ないで帰るのだが、これがいつもの私の旅なのである。

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あとはただただ惰性で列車に乗り続ける。三島の隣の函南に降りてみたが殺風景な駅だった。駅舎とホームを観察し、15分後にやってきた熱海行きに乗る。熱海で東京行きに乗り換えて小田原で降りる。小田原から小田急ロマンスカーに乗って相模大野まで出る。ロマンスカーに乗るのは実にひさしぶりだ。相模大野から中央林間に出て東急田園都市線に乗り換えて帰宅。

沼津−−−御殿場−−−駿河小山−−谷峨
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|           相模大野−−−−中央林間
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三島−−函南−−熱海−−小田原  国府津−−川崎
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修善寺

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