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鉄の伝承

電車に父親と小学校低学年の男の子が乗っていた。父親は年季の入った鉄で「ナントカ形のデザインが変更されちゃったのはつまらないね」と息子に語りかけている。鉄道好きの息子(まあ男の子はたいてい乗り物好きだが)は、専門用語がよくわからないようで「ナントカって? 何それ?」と父親に問い返す。父親は「車輌の前にある○○の部分が変更されちゃったんだよ」息子はますます???という表情。会話はこれでおしまい。

私はこの光景を見て思った。いまここで親から子へ鉄の伝承が行なわれている。子どもには専門用語など理解できない。それでも父親が発した「ナントカ形」「○○の部分」という言葉は記憶に残る。そしていつの日か、父親から聞いたあの言葉の意味がわかる日がくるのだ。

高校生の頃、私は数学が苦手だった。数学は嫌いではない。ただ時間内にこの問題を解く、というテクニックがなく、いつも赤点ばかり取っていた。ある日、数学の教師が「これは余談ですが…」と前置きして、ある証明問題を黒板に書き始めた。なんだかよくわからない高等数学の証明問題なので、みなポカンとして黒板を眺めている。そして教師は証明を終えると呟いた。「とても、美しい証明ですね…」

数学の証明が美しい、と感じられる教師の感性に、私は少なからず衝撃を受けた。わたしにはなんだかわからないものが世の中にはたくさんあり、そういうものを美しいと感じられる人がこの世にいると、知った瞬間であった。まあ、これで私が数学の成績があがったかというと、そんなことはなかったのだが…

ここには教育の原点があると思う。子どもに対して、すべてをわかりやすく教えることはしなくてもいい。わからないものはわからないし、わかる年齢、わかる時期というのがある。だから子どもに対して専門用語を駆使してでも言葉を浴びせかければいい。「難しいことをわかりやすく説明することはできない。難しいものはやはり難しいのである」という養老孟司の言葉どおり、人はなんでもわかろうとすると破綻するのである。換言すれば「人はなんでもわからせようとするから破綻する」とも言える。

いつの日か、この子は将来りっぱな鉄に成長するだろう。そして鉄の遺伝子は脈々と受け継がれてゆくのである。

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