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遠回りについて考える

あいもかわらず電車のお噂であります(なぜか小沢昭一調)。

いつものようにのんべんだらりと電車を適当に乗り継いで、いつのまにか横須賀線の逗子に来ていたのでありますよ。まったくもう、なんで逗子まで来るかなあ、と内心あきれつつ、、、あきれるったって自分のことなんですが、、、あきれつつも小腹が空いてまいりました。

なにかないかなあ、と駅の売店を物色しておりましたら、ありましたよ「鯵の押し寿司弁当」。なんだかこれが食べたいという気持になりましたなァ。さっそくこれを買いまして、さてこれからあたくしは京急新逗子まで歩きました。すでに陽はとっぷりと暮れ、せっかく逗子まで来たのに海すら見えません。まあ、あたくしは海を見に来たわけじゃありません。電車に乗ってれば楽しいのですから、まったくもう中年鉄オヤジとは困ったものであります。

京急線といえばいまどき珍しい四人掛けクロスシート。あたくしはこのクロスシートというのが好きなんであります。二人掛けの席が向かい合わせになってて、こういう座席は旅情がありますなあ。あたくしもご多聞に漏れず、クロスシートで鯵の押し寿司弁当を広げて、ええ、もちろん隣にはだァれもおりません。かわいいお嬢さんもあだな年増もおりません。むさくるしいオヤジ独りなんでございます。まあそれでもつかのまの行楽気分を満喫、って夜の京急逗子線で行楽も何もないんでありますが。

あたくしはここから金沢八景まで行きまして、ここから横浜新都市交通シーサイドラインに乗ったんでございます。金沢八景からとぼとぼと歩いて、到着したのは実にもう殺風景な駅でありました。シーサイドラインと申しますのは、要するに、あの「ゆりかもめ」、浜松町から海の上を走ってお台場に行く、あの運転手がいない自動運転のアレですなァ。それにしても運転手がいない電車ってのは、ちょっと気持悪いですねェ。まあ鉄オヤジですからなんでもいいんでございます。 

このシーサイドラインというのは、ひたすら海の上や海岸べりを走ります。昼間なら車窓からの眺めもいいのでありましょうが、なにしろ夜です。景色もなにも、あったものじゃあございません。遠くのほうに、赤い灯青い灯がチラチラしておりまして、あそこらへんには楽しい歓楽の巷があるんだろうなあ、なんて俗なことを思いながら、がらーんとした車輌でぼんやりしておりました。

すると、どこかからハモニカの音色が聞こえてきたんでありますよ。車内放送でも、携帯電話の着メロでもありません。ハモニカです。んー? なんだなんだ? あたくしはキョロキョロいたしましたよ。音色の出所は隣の車輌でした。隣の車輌に乗ってるオジサンが、ハモニカをお吹きになっていたんであります。ほかに客はおりません。オジサンひとりです。

齢の頃なら七十前後でしょうか。恰幅の良い、まあ失礼ながら身綺麗なオジサンじゃァ、ありません。といって、浅草や北千住、隅田川の川べりなんかにお暮らしの、街角の紳士でもございません。見たところ、横浜港あたりで長年お働きになって赤銅色に日焼けしたような、ええ、そんな感じのオジサンでございます。

そのオジサンがハモニカを鳴らしていたんでありますよ。それも菅原都々子さんの大ヒット曲、あの『月がとっても青いから』なんであります。驚いたことに前奏から吹いているんであります。「チャンチャカ、チャンチャカ、チャラララランラン、チャンチャカチャンチャンチャン♪」実にこの、お上手なんですなあ、これが。

しばらく思わぬ独演会を楽しんでいたんですが、なにせ電車ですから、駅に停まるたびにオジサンは、いや巨匠は演奏をお止めになるんでございます。やっぱり、誰か同じ車輌に乗り込んできたら、こっ恥ずかしいんでしょうか。それでも時間帯が時間帯ですので巨匠のいる車輌には誰も乗ってきません。電車が発車すると、また演奏会は再開されるんでありますよ。巨匠は律儀にまた前奏から吹き始めるのでありますなあ、これが。

やがて巨匠は途中の駅で、ずだ袋背負ってハモニカをポッケに入れて、巨匠は電車を降りてゆかれました。巨匠の背中は、広くて大きくて、がっしりとしておりました。巨匠の背中に向かって、私は小さく拍手をいたしました。いよっ、巨匠! 

このあと私は『月がとっても青いから』を鼻唄で歌って終点まで乗りました、ハハハ。「月がとっても、青いからァ、遠回りして……私の人生、とっくに遠回りだァ!」というようなお話は、また明日のココロだァ。

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鉄道」カテゴリの記事

コメント

なにしているんですか?逗子から八景ですか。
まあシーサイドラインは高いは人は乗っていないはという路線ですから。なんでも、代理店が市営地下鉄とかの車内広告を受注するとおまけにシーサイドラインにも掲載してくれるぐらいとか。
次は横浜市電の後継、市営地下鉄にでも挑戦してください。横浜から戸塚まではほとんどお年寄りしか乗っていません。

まったく何してるんでしょうね(笑)
横浜市営地下鉄ですか。私はあざみ野から横浜、関内まではよく乗ってますが、終点まではまだ…あれも運賃高いですよね。

神奈川県内の鉄道はほとんど乗ってますが、近いところでは鶴見線の大川支線だけが未乗車なんです。その気になればすぐなんですが…

すいません、私も人のこと言えた義理では・・・
大川支線ですか、3月まで勤めた会社の最寄の駅が安善で、大川はすぐそばでした。よく大川行きに乗ってました。車でなら何度か行きましたけど、なんにもないからなあ。
考えてみたら、鶴見線沿線で2年ちょっと働いていました。東芝の京浜事業所にも仕事で毎日のように出入りをしていたので、鶴見線マスター(?)といってもいいのかなあ。
ちなみに安善と鶴見小野駅近辺には立ち飲み店があって、鶴見線利用者のオアシスとなっています。

あらあら、せっかくこちらまでいらしたのにお構いもしませんで、失礼致しました。これに懲りずにまたどうぞ♪
そのハモニカの巨匠、是非遭遇したいですねぇ。
「月がとっても青いから」は小学校低学年くらいの時の愛唱歌でした。あの縮緬ビブラートを真似するのが好きだったんです。

それにしても、口笛と三味線のお囃子が聞こえてきそうな…


市営地下鉄はほんとに高い。初乗り料金200円ですからね。
先日長男の部活の定期演奏会を聴きに行く時、一駅だけ乗るのにそんだけ掛かり、勿体無いからもう少し先まで行っちゃおうかと思いました。思っただけですけどね、私は。

つたえつ様
週末はいろいろとお世話になりました(笑)無事帰宅いたしましたよ。やっぱり私は海より山のほうが性に合うようです。篠ノ井線は春夏秋冬乗りたいと思いました。
それにしても小学校低学年で菅原都々子、しかも縮緬ビブラートってあーた、センダンは二葉より芳しというか、蛙の子は蛙というか(苦笑)

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