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今年最初に観た映画

日劇七周り半事件
1941年2月11日、日本劇場(日劇)で「歌ふ李香蘭」という公演が開催された。満洲映画の人気スター李香蘭が来演するとあって、会場である日劇の周囲を七周り半もの観客が取り巻いた。またこのときには消防車が出動して散水し、群衆を移動させるという大騒動となった。この事件は「日劇七周り半事件」と呼ばれ、語り草となっている・・・

『支那の夜』(1940東宝)を観ようと東京国立近代美術館フィルムセンター(NFC)に出かけた。ここは国立の映画館なので500円で映画が観られる。さすがにフィルムセンターだけあって内外の貴重なフィルムが数多く収集保管されており、これらの特集上映は熱心なファンや研究者、映画関係者が群れ集い、作品によってはロードショーもかくやというばかりの大盛況となる。今日は長谷川一夫と李香蘭主演の『支那の夜』が上映されるので、たぶん観客も多いんだろうなあと思い、上映1時間ほど前に京橋に到着した。

NFCに行ってみると、さほど広くもないロビーにぎっしりと人、人、人。整理係のお姉さんが「列の最後尾はこちらでーす」と案内してくれたが、私の前にはすでに200人近い客が呆然と並んでいる。行列の約9割は推定年齢60〜 70歳以上、残りは私のような中年や熱心なファンの青年。ここはシニア料金300円ということもあり、懐かしの邦画特集のときなどは、かつての映画ファン=ご老人が群れ集うことが常態となっている。今日も行列の後の方から「李香蘭が日劇に来たときも、あの日劇の周りに七周り半の行列ができて、いやあ大騒ぎだったねえ」というご老人の声が聞こえてきた。日劇七周り半に比べたらこれくらいはしょうがないか…

以前は知る人ぞ知る映画館だったのだが、口コミなどで広まったのであろう、ご老人の集会所と化してしまった。いや、別に非難しているのではない。わずか300円でご老人が楽しい時を過ごせるのだから、国立の施設としては表彰されてしかるべきだと思う。とうとう今日は満員御礼、約300の座席が埋まり立ち見も出ている。

上海租界で武器弾薬を輸送する船員の長谷(長谷川一夫)は、戦火で家と家族を失った支那人の娘・桂蘭(李香蘭)を暴漢の手から救う。ところが桂蘭は日本人に助けられたのが悔しくて、長谷の暮すホテルに住み込んで世話をして借りを返そうとする。長谷は日本人を嫌悪する桂蘭の心を開かせようと熱心に彼女に優しくする。桂蘭は長谷や同僚たち(藤原鶏太、嵯峨善兵)、ホテルの主人夫婦たちの優しさに触れ、侵略者である日本人にも優しい人たちがいることを知る。長谷を慕う歌手のとし子(服部富子)は、あなたたち日本人が私の家を燃やし家族を殺したと言う桂蘭に「私の兄も支那人の兵隊に殺されたけど、兄は日本と支那が仲良くなるための戦争の犠牲になったのだから、あなたたち支那人を恨んではいない」と諭す。

ところが桂蘭は抗日集団の一味だったため、一味は彼女を拉致監禁して長谷たちが武器弾薬を輸送する情報を知ろうとする。拉致監禁された桂蘭を救うために、長谷たちは獅子奮迅の活躍をして危機を脱した。このあたり長谷川一夫が拳銃を乱射して、バタ臭いギャング映画の雰囲気濃厚。ここでなぜか唐突に長谷と桂蘭は結婚することになるが、結婚式の最中に長谷に出動命令が下り、婚礼の夜に花婿と花嫁は別れ別れになってしまった。輸送の最中に抗日集団の攻撃に遭った長谷は行方不明になり桂蘭は嘆き悲しむ。そして桂蘭はかつて長谷と遊んだ蘇州を訪れ、絶望のあまり運河に身を投げようとしたとき、負傷して帰って来た長谷が馬車を飛ばして現れた。めでたしめでたし。

それにしても…無駄に長い映画。一種のシンデレラストーリー的ラブロマンスであり、大東亜共栄圏の正統性を強調する国策映画である。当時の上海の街並や蘇州の風景がふんだんに記録されているところが興味深い。この映画の名を後世に残しているのは、服部良一作曲による挿入歌『蘇州夜曲』のせいだ。日本流行歌史上の最高傑作とされるこの歌はあまりにも完璧で、渡辺はま子の澄んだ歌声とともに余韻嫋嫋。ケチをつければ、上海娘の李香蘭が話す支那語が上海方言ではなく綺麗な北京官話だということ。まあこのへんは映画の約束ごとなのでケチをつけるのが無粋というものだ。

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