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50マイル台のスピード表示に笑いが起きた

私がアンダースロー好き、変則好きであることは過去記事「変則な男たち」(2005年12月11日)参照いただくとして、今日は野球ファン限定で書く。野球のわからない人は置いていきますので悪しからず。

千葉ロッテ・マリーンズのピッチャー渡辺俊介が書いた『アンダースロー論』を読んだ。
アンダースローというのはピッチャーの投球フォームのひとつ。投球フォームはオーバースロー、スリークォーター、サイドスロー、アンダースローの4種に分けられる。オーバースローは文字通り上から腕を振り降ろすフォームで、野球ファンでなくともだいたいこのフォームが想像できるだろう。真上に近い位置から腕を振り降ろすと本格派と言われる。サイドスローは腕が横から出て来るフォーム。現役では吉野誠(タイガース)、木塚敦志(ベイスターズ)をはじめ比較的多い。過去には斎藤雅樹(ジャイアンツ)、高津臣吾(スワローズ)、サウスポーの角三男(ジャイアンツ)がいた。

スリークォーターというのはサイドスローに近いオーバースロー、といえばおわかりだろうか。まあだいたいこのへんの区別は比較的視覚に頼るところが大きい。サイドスローとアンダースローの違いというのもまた微妙。理論的にいうと地面に対して上半身が直角だとサイドスロー、左右どちらかに傾斜していればアンダースローという区別もあるらしい。最初はアンダースローのようなフォームなのに、最後はスリークォーターに近いところから投げる村田辰美(バファローズ)のような超個性派もいるからややこしい。かつての山田久志、足立光宏(ブレーブス)、金城基泰(ホークス)などが本格派のアンダースローと呼ばれていた。文字通り上半身を折り畳んで腕が地を這うように出て来るフォーム。

乱暴にいえば少年野球を含めてピッチャーの70〜80%くらいがオーバースローとスリークォーターだろう。残りの10〜15%がサイドスロー、アンダースローは5%を切るのではないだろうか。まあそれくらい稀少価値があるということだ。渡辺俊介自身、この本で「残念ながら、アンダースローのピッチャーは、いまもプロ野球では多くありません。入団したとき、アンダースローは『絶滅危惧種』と言われて戸惑った経験があります」(216p)と書いている。

この本で興味深かったのは、変化球ひとつとってもアンダースローならではの握り方があり、腕や肘の使い方があり、それらが実にわかりやすく書かれていることだ。たとえば、手首を立てるアンダースローと手首を立てないアンダースローがある。「山田(久志)さんが手首を立てて投げていたのは、もう有名な話だと思います。アンダースローだけれど、投げている手首の角度だけを見れば、オーバースローと同じように上から下に振っている。だから、低い位置だけれど、球の質はオーバースローなんです」(45p)これもさらに「手首だけを立てたらうまくいかないので、山田さんはヒジも立てる。だから、僕よりはリリースの位置は高い」とあるように、ヒジを立てるあるいは立てないフォームもある。ともに本格派アンダースローと評される山田と渡辺俊介の違いがわかる。なるほどね。

手首を立てるアンダースローといえば、南海ホークスの黄金時代を支えたエース杉浦忠が有名。「その秘密は何かといえば、手首の使い方にある。地を這うように繰り出す腕と直覚の形で手首が出てくるのが、杉浦の投法だった。(中略)杉浦が投げる時、手首を返す瞬間に『バシッ!』という音が打者に聞こえたという伝説もあるほどだ」(『魔球伝説』スポーツグラフィック『ナンバー』編 175-176p) 南海ホークスの黄金時代を支えたもうひとりのエース、サイドスローの皆川睦男はインタビューに対して次のように答えている。「私の投げ方は、手首が立たない。これはタイプの問題。だから、シンカーが投げやすい。杉浦は手首が立っている。これでは、シンカーを投げるときに余分にヒネることになり、肘や肩に負担をかける。杉浦が入団してきて、私のシンカーを見て“教えてくれ”と言ったが、私はダメだとあえて教えなかったのには、そういう理由があったからだ」(『魔球伝説』 79p)

本書からもうひとつ。日本の野球界には、国際大会に出場する代表選手を選ぶときに「アンダースロー枠」というのがあるらしい、というのが面白かった。アンダースローというのは日本独特のフォームなので、海外の選手は慣れていないので、必ず1人か2人は選ばれるというのがその理由。渡辺俊介はアンダースローに適した身体能力(身体や関節のすぐれた柔軟さ)を備えているが、それ以上に際立っているのが、じぶんが野球選手として生き残るためにはどうすればいいのか、ということに貪欲である、ということ。あえて「絶滅危惧種」と言われるアンダースローを選んだこと、お手本や指導者の少ないアンダースローだけに自分で常に試行錯誤を続けること、この姿勢には頭が下がる。個性が個性が、と個性ばかり強調する連中が多いが、ほんとうに個性派でいるためには強固な意志と素直な心が必要なのだろう。

今シーズンは不調だった渡辺俊介だが、来シーズンこそふたたびあの勇姿をマウンドで見たいものである。豪速球全盛のメジャーリーグではめったに見られない、あの80キロ(50マイル)を切るような超スローカーブを見るだけで面白いのだから。

「大会(WBC:World Baseball Clasic)前、(ミルウォーキー)ブリュワーズとのオープン戦で投げたときは、最初スタンドや相手のベンチから笑い声が聞こえました。スピードのいちばん遅いカーブを投げたときです。みんな本当に笑っていました。「どんな反応するかな?」と興味はありましたが、まさか笑われるとは。でも試合では完璧に抑えたので、最後には笑っていられなくなったようです」(135-136p) 

光景が目に浮ぶようだ。

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コメント

へええ~~~、そーなんだぁ~~~~~。

そお〜〜なんです。

閑話休題。
ところでつたえつ母さんがまたまた次のミッションに突撃との噂。
一獲千金、期待してるよお〜〜(笑)

あいよ、おまいさん。
お不動さんに願掛けでもしといとくれっ。


相変らずいい迷惑なのは、子供らに旦那にジイさんバアさんよね。

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