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本日の戦死者

三崎亜記『となり町戦争』を読む。

ある日、町の広報誌にとなり町との戦争が開始されたというお知らせが掲載される。そして主人公の北原は町から偵察要員に任命されることになった。その後「総務課となり町戦争係」(!)の香西さんと“夫婦”としてとなり町に潜伏することになる。北原と香西さんは“夫婦”なので、いっしょに食事をし、買い物に出かけ、たまにはセックスもする。

この戦争は決して市民の目に触れない。誰も知らないところで戦闘がおこなわれ、広報誌には今日の戦死者が報告されるだけだ。町役場と町民とのあいだで戦争補償に関する説明会がおこなわれ、平和運動グループと論戦がおこなわれる。ほんとうに戦争なんて起っているのだろうか。

ある日香西さんから、いますぐアパートから逃げるようにと指示がある。見えない戦争が突然身近に迫ってきた。ふつうの主婦にしかみえない“協力者”の手引きで、危機を乗り越えて検問を突破することができた。しかし戦争はいぜんとして目に見えるかたちで迫ってはこない。戦車も兵士も空襲も爆撃もない。そしてある日突然戦争は終結し、北原にも平穏(?)な日常が戻ってきた。

不思議で新鮮な、まったく新しい戦争小説。戦争小説であり乍ら戦争のリアリティが感じられないところが実に新鮮。思えばイラク戦争や中東紛争、ちょっと前ならボスニア・ヘルツェゴビナ民族紛争の映像に、リアリティを感じろというのが無理な話。湾岸戦争を伝えるニュース映像のなかで、闇夜に光るミサイルの光跡と爆発の炎を観たとき、まるで作り物のショーを観ているような気分になったのを憶えている。

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