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中国大陸走馬観花記之三

三日目の午前中は天壇(tian tan)に行く。幼い頃に天津から天壇へ来たことがあるという母は、印象的な建築をうっすらと記憶しているらしい。ホテルの前で乗ったタクシーの運ちゃんが「いま、天壇の祈年殿は改修中だから頤和園(yi he yuan)はどうだい?」と言ってくる。まあそれもいいとは思うが、何しろ午後には天津行きの列車に乗らなければならないので、そんなに遠くまで行ってはいられない。ぼんやりと車窓から外を眺めていたら、車が天壇とは反対方向に向かっていることに気づいて運ちゃんに尋ねる。「頤和園には行かないんだったね、いや悪い悪い、ちかごろ歳のせいかうっかりしててさ、女房にも怒られるんだよ(苦笑)」おかげで北京城をほぼ一周するということになったが、それはそれで北京市内の発展変貌ぶりをつぶさに眺めることができて面白かった。天壇で降りてあたりを散策する。それにしても肝心の祈年殿が改修中、昨日の故宮博物院の太和殿といい、北京オリンピックに対する北京の入れ込みようがしのばれるというものだ。

ホテルに戻ってチェックアウトしA嬢にお礼を言って北京駅に向かう。恒基中心のなかの飲茶楼で午餐。宮保鶏丁(鶏肉とピーナツの辣椒炒め)が猛烈に辛くて美味しかった。午後の列車で天津に向かう。18年ぶりに北京駅に入場。どういうわけだか全員が荷物をX線でチェックされる。空港並みだネ。

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駅前広場や駅構内には、中国全土から出稼ぎに来た労働者や出張のビジネスマン、若いカップルから老人子ども親子連れでごったがえしている。この光景は変わらないなあ。改札前でまたしても長い行列。なんでホームに行けないのだ、という母の問いに、出発の直前にならないと改札はしない、それが中国というものだ、と説明。

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北京と天津間をわずか1時間ほどで走る特急列車「神州号」は二階建て、思いのほか綺麗で快適。私はくたびれてほとんど寝ていたが、母は車窓から見える高梁畑が懐かしくてずっと観ていたそうだ。

北京を出発して1時間ほどで天津駅到着。北京駅とは違って古くさく薄暗く、それでいてなかなか広くて風格のある駅舎。流しのタクシーを拾って天津暇日飯店(TIANJIN HOLIDAY INN)に向かう。ほどよく老けた運ちゃんは、私が日本人だとわかるとしきりに十八街麻花(shi ba jie ma hua)を買わないのかと聞いてくる。麻花というのは小麦粉を練って油で揚げたお菓子で、特に天津の十八街麻花は老舗中の老舗でたいへん有名なのである。「十八街麻花はよオ、あっちこっちにニセものがあッからね、河西区にあるのが総店(本店)だヨ、そこなら間違いない、正真正銘ホンモノの十八街麻花だア」

天津話は基本的に標準語に近いのだがちょっとクセがある。たとえば「公園」という単語の発音は標準語では gong1 yuan2 (数字は声調:音の高低を表わす)なのだが、天津訛りだと gong3 yuan2 に転調するようで、ついには私まで訛ってしまい、おかげでコミュニケーションがスムーズにいった、ような気がした。まあ北京には北京話(これがまた強烈な巻舌でさっぱりわからない)があるし、上海話や広東話は同じ中国人どうしでも理解不能だし、訛りなんて何処にでもある。北京から遠くない天津の訛りなんて東京弁と茨城弁くらいの違いしかない(と思う)。学生時代、中国語の教師に「みなさんがいま勉強している標準語を喋っている中国人には、中国ではまずお目にはかかれません(笑)」と言われたことを思い出した。

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タクシーは天津駅前広場から、市内を流れて渤海に至る海河(hai he)に沿って走り、金鋼橋という大きな橋を渡ってホテルに到着。母は海河のことも憶えているようでここでも懐かしげに眺めていた。チェックインを済ませ荷物を放り出して晩餐。めんどうくさいのでホテルのレストランで済ませ、夜の市街を散策に出かける。

ここらへんは中心地からはずれたところなので、庶民の暮しの風景がそこかしこにある。店も外国人が行くようなところではなく鋪道もでこぼこ。人が集まってがやがやしているので行ってみると、屋外映画上映会の準備をしているのだった。煙草をくわえたオジサンがビルの壁を即席のスクリーンにして映写機の点検をしている。周りでは老若男女が集まって楽しそうに談笑し、ガキどもはあちこちを走り回っている。夏の夜の屋外映画上映会かあ、椎名誠の世界だな。

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ひときわ明るい路地があったので足を踏み入れてみる。50メートルほどの路地の両側に食堂がずらりと並んでおり、路地にテーブルと椅子を出してたくさんの庶民がわいわいがやがや、テーブルにはビール瓶が林立し、餃子、包子、麺条、各種名菜、注文を受けた店員が忙しく立ち回りまことに賑やか。夏の夜に夕涼みがてらここに集まってくるのだろう。回族食堂の前では、串焼きの羊肉を炙る煙りがもうもうと立ち込め、なんとも美味しそうなのである。今回は食べなかったが、実際これは美味しい。いわゆる中近東名物シシカバブだ。中国国内には回族(hui zu)と呼ばれるイスラム教徒が860万人ほど住んでいる。回族はイスラム教(清真教:qing zhen jiao)を信奉するひとびとの総称なので、いわゆる民族的分類にはあてはまらない。長い歴史のなかで民族融合をおこなわれてきたため、見るからにペルシャ系の顔をした回族もいれば、どう見てもふつうのアジア人の顔をした回族もいる。

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かれらは宗教的理由で豚肉を食べない。したがって中国全土に居住している回族のためにあちこちの街には回族食堂が点在している。一目で見分けられるように、回族食堂は青い装飾が施されており、たいがい「清真食堂」とか「回民食堂」という看板がある。気温が氷点下に下がる北方の冬、道端で焼いている串焼き肉をハフハフ食べるのはまことにこたえられない。いつかまた冬に来てハフハフしたいものだ。

路地の終点から引き返しホテルに戻る途中、屋外映画上映会の場所を通りかかると、ビルの壁にサスペンスドラマが上映されていた。かっこいい警官役の俳優が神妙な顔つきで事件解決にあたり、楽しそうにそれを観ている庶民たち。なんだかいい光景だった。

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コメント

中国大陸走馬観花記、楽しみに拝読させて頂いてます。
自分の中に微かに残ってる中国の匂いや音がむくむくっと蘇ってくる感じ。
天壇公園や頤和園は私達が行った頃も整備途中といった風情でしたが、それから20年間、ずっと整備中なんでしょうか…何だかそれも有りそうな気がするんですよね。何しろ時間のスパンが長いお国柄ですからね。
ビルの壁に映し出されたハードボイルド、楽しそうだなぁ。

つたえつ様
ご愛読感謝。
>それから20年間、ずっと整備中なんでしょうか…
うん、それってとてもわかる気がする(笑)、、、とにかくオリンピック開催が決まって以来、街の再開発と施設や文化財の整備が凄いらしいよ。
屋外上映会もしばらくぼけーっと眺めていたんだけど、映画よりも映画を観ている人たちを観ているほうが面白かったなあ。


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