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熱海の海岸、散歩して

ほとんど寝たきり?のGWだったが、一日くらい何処かへ出かけようと思いなぜか熱海に向かう。特に思うところがあるわけではないのだが、なんとなく熱海へ行こうと思った、ただそれだけである。東海道線に揺られて小田原、真鶴、湯河原を通り過ぎて熱海に着いた。空前の海外旅行ラッシュとはいえ熱海にもそれなりに観光客が群れている。家族連れかアベックばかりのなか、私はいつものように独り旅。

熱海といえば小津安二郎監督の名作『東京物語』(1953)、笠智衆と東山千栄子の老夫婦が早朝の熱海の海岸でしみじみする場面が有名。はるばる尾道から上京し、子どもたち(山村聡、杉村春子)のもとを訪れた老夫婦は、手塩にかけて育てた子どもたちも立派になったが、それも思いのほか出世しているわけでもない現実を知る。それはそれでいいとしても、長男も長女もどことなく老親に対して冷たいことに落胆する。戦死した次男の嫁・原節子だけが心から優しく接してくれる。老夫婦はあちらこちらとたらい回しにされ、挙句の果てに長女の杉村春子の亭主・中村伸郎の発案で熱海の旅館に送り出された。夜が更けても喧噪止まぬ旅館でひどい目に遭い、寝ぼけ眼をこすり乍ら熱海海岸の堤防の上で「そろそろ尾道へ帰ろうか」「そうですねえ、帰りましょうか」と短い会話を交わす。ここで東山千栄子は目眩を起して倒れそうになる。これが伏線で、尾道に帰った後、東山千栄子は倒れて息を引き取る。

戦争が終わって日本は変わってしまった。古き良き日本は次第に失われてゆく。家族のあり方もどんどん変わってゆき、老夫婦はもう時代から取り残されてしまった。この残酷な迄の現実を小津安二郎は冷ややかに、そして限りない優しさを込めてフィルムに映し出していく。笠智衆と東山千栄子が朝日を浴びて座っていた堤防はどこだろう。すでに50年もむかしのこと、映画で観る熱海海岸は今とはすっかり様変わりしている。たぶん位置関係からしてこのあたりに堤防があったと思われる。画面左手にはのどかな岬が映っているが、今では突端までホテルやリゾートマンションが立ち並んでいる。彼らが眺めた海だけがむかしのままだ。

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