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Asian noir

街角でささやかな会社を経営していた矢野正彦(仮名)は数年前にパソコン用商品の販売でひと儲けした。脱サラで始めた会社だったが当初は競争相手の多いこの業界で生き残るのに必死だった。大手コンピュータ会社の営業で培った人脈を活かして、ユーザの立場から安くて丈夫で使いやすい商品をいくつか企画開発し、地道な営業努力を続けた。その結果、じわじわと売れ行きが上昇カーブを描くようになり、ようやく社員たちに恥ずかしくないボーナスを支給できるようになった。

ところが最近、製造単価をより安くあげるため労働力を中国に求めることを考え、つてを頼って北京のシリコンバレーと呼ばれる中関村(チュンクヮンツン)に進出。これが裏目に出た。合弁を申し出た王才龍(ワン・ツァイロン)に自分たちの企画開発情報をみごとにパクられたうえに、才龍はさらに安い製品を勝手に作って輸出し始めたのである。抜け目ない彼らは矢野に李春艶(リ・チュンイェン)という若い愛人をあてがった。中国四千年のテクニックを駆使する春艶に骨抜きにされた矢野は、業績がみるみる落ちていく事実に憤り乍らも、春艶と戯れることを止められなかった。どうやら麻薬を嗅がされていたらしいと気づいたのは、尾羽うち枯らして帰国した後だった。

ある日、帰国した矢野の会社に才龍がやってきた。凄い企画があるのでぜひ矢野に日本での販売総代理店になってもらいたいという。半信半疑だった矢野だが才龍の後ろで微笑む春艶の姿を見てふたたび地獄に堕ちた。中国人がどんどん会社に入り込み、日本人の社員は次々と辞めていった。春艶のマンションに入り浸る夫に愛想をつかし、妻は小学生の娘を連れて矢野のもとを去っていった。とうとう会社を乗っ取られたうえに多額の負債を押しつけられた矢野は、家も会社もすべて失い自家用車で寝泊まりするようになる。そしてある日サラ金の取り立てが自家用車の窓ガラスを叩く。

「社長さんよお、動く家ってのもいいもんだが、俺たちゃ探すのに苦労するんだよお(笑)、いいかげんにしてくんねえかなあ、金がないなら腎臓ひとつ貰いたいんだよねえ、人助けになるし借金は返せるし、なに、悪い話じゃねえと思うよ(笑)」

そしてある冬の夜、数人のダークスーツ姿の男が現れ、矢野は黒塗りの外車に乗って闇に消えていった。路上に残された自家用車はそれ以後「空家」になったのである。

というようなドラマがあるんじゃないかなあ、あったら面白いんだけどなあ、と妄想する散歩中。

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