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疲れたときにこの一冊

堀江敏幸『雪沼とその周辺』(新潮社)を読む。

帯に書かれた谷崎潤一郎賞受賞、川端康成文学賞受賞よりも、木山捷平文学賞受賞というコピーに強く惹かれる。読んでみたらなんとも心のやすらぐ小説だった。

廃業寸前のボウリング場のオーナーはレーンの前でボウルを構え、自分の人生の立ち位置(スタンス・ドット)はこれでよかったのだろうか、とおのれに問う。時間が止まったような商店街のレコード店の主人は、自分がかけるレコードに反応する客のほんのわずかな表情の変化に気づく。箱を作る小さな工場の主人は、職人かたぎの機械工の生き方に人生の機微を感じる。街はずれに佇む書道教室の先生夫婦は、幼くして亡くした息子のことを思って日々を送る。

山あいの静かな雪沼という架空の街に暮す人びとの、静かな暮しと静かな生き方が、まるで肌理のこまかい木綿織りのような文体で綴られている。まさに市井の暮しを淡々と飄々と、そして滋味豊かに描き続けた木山捷平の名を冠した文学賞に相応しい連作集。疲れた身体と心によく効きます。

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