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2005年12月

おんがくのよろこび

 帰宅したら郵便受けにCDが入っていた。

 学生時代からの友人である彼女はアマチュアオーケストラのヴィオラ奏者として活躍していたのだが、結婚〜出産〜子育てとまっとうな(少なくとも私よりはよほどまともだ)人生を送っている。マイクを握れば玄人はだしでしかも酒呑み、カマドウマ(通称ベンジョコオロギ)には滅法弱いという明るく楽しい女性。こどもが成長するにつれてふたたびヴィオラ抱えてあちこちに出没していたが、最近ヴィオラをマンドリンに持ち替えてネオンの巷を流して回り、じゃなかった、マンドリンアンサンブルを結成して、スタジオやコンサート活動に精を出しているという。手元に届いたのは彼女たちが自主製作したCDなのだった。早速封を切ってCDプレーヤーにセットする。

 マンドリンといえば私はすぐに古賀政男、古賀メロディー、古賀政男が創立した明治大学マンドリン倶楽部、あるいはブルースマンドリンの名手、ヤンク・レイチェルといったイメージが浮ぶ。というかそれ以上浮ばない。マンドリンにもいろいろ種類があることも初めて知った。一般的に思い浮かぶマンドリン以外に、音域の低いマンドラ・テノール、さらに音域の低いマンドロン・セロ、このCDでは使われていないが最低音域を受け持つマンドローネというのもあるそうな。大きさはヴァイオリン→ヴィオラ→チェロ→コントラバスというふうにだんだん大型化する(音楽大事典で調べました)。

 だからマンドリンアンサンブルといわれても、なかなかピンとこない私ではあったが、聴き覚えのあるクラシックの名作から渋い曲まで、実に味のある演奏に仕上がっていて正直驚いた。しかも編曲まで自分たちでやっているというからまたまた吃驚。マンドリンの音がまるでチェンバロのように聴こえるのが意外だった。『ホルベルク組曲』(グリーグ)、『弦楽セレナーデハ長調作品48』 (チャイコフスキー)そして同じくチャイコフスキーの誰でも知っているあのバレエ音楽『くるみ割り人形』と、クラシックファンならずとも唸ってしまう選曲。マンドリンのトレモロの響きや軽い音色が、日本人のメンタリティに合っているのだろうか。ちょうど春の柔らかい風に吹かれて、暖かい陽の射し込む縁側で昼寝しているような気持になった。

 今日は日曜出勤だったのだが、耳の奥で『花のワルツ』がずっと流れていて優雅な気分で過ごせた。
 ありがとう、友よ。

 アンサンブル絃
『sweets 〜 the sweets of music:おんがくのよろこび』
 ※興味のある方は私にお尋ねください。

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寒い朝

 家から駅へ向かう途中に市立図書館がある。毎朝、市立図書館の敷地を抜けて駅へ向かうのだが、今朝も白い息を吐き乍ら足早に駅へ向かって歩いていたら、大きな木の根元に妙なものが落ちていた。通りすがりにチラリと目線をやると、それはカバーがかかった文庫本だった。けっこう厚い文庫本だったが白いカバーが掛けられていて書名を確認すること能わず。天(本の上の部分)の感じからして新潮文庫のようだったが、何しろ今日はギリギリに家を出たので、立ち止まって確認することもできなかった。いつもなら(そんなことは滅多にないが)絶対拾い上げて確認するのだが、後ろ髪引かれる思いで駅に向かうのであった。
 
 電車に乗ってからも、仕事をし乍らも、あの本はいったい誰が落したんだろう? 書名は何だったのだろう? なぜあんなところに落ちていたのだろう? と考えていた。いつもの忙しさに、その疑問はいつしか頭の中に埋没していたが、最寄りの駅からとぼとぼと帰宅する道すがら、すっかり暗くなってしまった夜道を図書館に向かう途中で、朝見かけた文庫本のことを思い出した。図書館の敷地に文庫本が落ちていたら、絶対誰か拾ったんだろうなあ、もう無いんだろうなあ。大きな木のそばに来たときに周囲に目をやったのだが、案の定何一つ落ちてはいなかった。うーん、あの文庫本は何だったんだ? 司馬遼太郎? 宮部みゆき? それともドストエフスキー? 謎は迷宮に消えてしまった。

変則な男たち

 今年の千葉ロッテマリーンズ大躍進はさまざまな要因があるが、私はエースに成長した渡辺俊介の活躍にあると思っている。誰それ?という方もおられるだろうからいちおう紹介しておく。

 渡辺俊介 1976年生まれ。栃木県出身。国学院大学から新日鉄君津を経て、2001年千葉ロッテマリーンズ入団。リリースポイントは地上10cmとも言われる、いまどき珍しい本格派のアンダースロー投手。多彩な投球術で抜群の安定感を誇る。

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 何度も球場で渡辺俊介の投球を観ているが、とにかく気持良いくらいの本格派アンダースローだ。決して球は速くない。ストレートはせいぜい130キロくらいだろうか。ところがスローカーブやシンカーといった緩い球の使い方が絶妙。130キロのストレートのあとに80キロ台のスローカーブが来ると、素人目にもこりゃ打てないなあと思ってしまう。

 かつては私が知っているだけでも山田久志、足立光宏(ブレーブス)、金城基泰(ホークス)、三沢淳(ドラゴンズ)、高橋直樹(ファイターズ)、松沼博久(ライオンズ)、上田二朗(タイガース)と、球界にはエース級のアンダースロー投手がけっこういた。チームには必ず1人くらいはいたような気がするくらいはいたのである。珍しいところでは左のアンダースロー(ややサイド気味だが)の永射保(ライオンズ)。ワンポイント専門の左打者キラーとして名を馳せた。ところがいつの頃からかアンダースロー投手はどんどん少なくなってしまい、90年代になると御子柴進、葛西稔(タイガース)、宮本賢治(スワローズ)くらいで、しかもエース級ではなく二番手や中継ぎタイプばかりになってしまった。

 お察しのとおり私はアンダースロー好き、変則好きなのである。渡辺俊介のような本格的変則派?が活躍するのが嬉しくてしょうがない。ちなみにアンダースローは日本独特のスタイルであり、メジャーリーグにはほとんどいない。日本でも知られているのは80年代のクイゼンベリー(ロイヤルズ)、90年代のキム・ビョンヒョン(ロッキーズ)、どちらも抑えとして活躍したアンダースロー投手。驚いたのは数年前に日米野球で来日したマイヤーズ(マリナーズ)。なんと左のアンダースロー!

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沖縄食堂二題

 連日八時九時まで残業しているといい加減腹が減ってくる。この時間になると集中力もやる気も失せてくるし、これ以上遅くなると路線バスが無くなってしまい、最寄りの駅迄トボトボと歩くことになる。まあ歩いても30分くらいなのだからどうってことはないが、やはりバスに乗って駅迄行きたいというのが人情だ。

 今日も疲れた身体を引き摺ってバスに乗り終点の駅で降りた。今日はこのへんで何か食べて帰ろう。そうだ、ひさびさにG亭に行って焼肉定食を食べよう。昭和三十年代を彷彿とさせる街の食堂で、美味しくもなくかといって不味くもない。コンクリート打ちっぱなしの床と安っぽいテーブルにパイプ椅子。マンガ雑誌が無造作に置いてあるという、由緒正しい学生街の食堂なのだ。私のように十数年来の客であっても、ベタベタ話しかけてくることもないオヤジが良い味出している。寒風吹き荒ぶ駅前の道を歩いてG亭を目指す。あそこは水曜日が定休日だから今日は開いているはずだ。ところが、なんと灯が消えている。とうとう潰れたかあ? まさかそんなことはないだろう。臨時休業かあ、しょうがねえなあ。同じく学生御用達のT食堂も、外観が怪しい老舗の中華食堂N楼も閉まっているし、定食屋Wはとっくに潰れちまったし、あとは牛丼屋くらいしかないけど行きたくないなあ。

 落胆していると、露地の入り口に「沖縄そば」という幟が風にはためいているのが目に入った。「はて、こんなところに沖縄料理屋なんぞあったっけ?」ふらふらと露地に入っていくと、なんといつ出来たのか目の前に沖縄居酒屋が出現した。もう別の店を探すのもめんどうなのでここに入ってみた。わりと広いが客はチョボチョボしか入っていない店内には島唄が流れている。オリオンビール(しかも中ジョッキ)、ゴーヤチャンプルー、沖縄珍味三種(スクガラス、豆腐よう、ゴーヤのピクルス)、ソーキそば。値段は安くはないが、それだけまともということなのだろう。カリー春雨(泡盛の銘柄です)を追加して豆腐ようをつまみにちびちび呑む。私は豆腐ようが大好きなので嬉しい。泡盛に合うし酒のツマミとしては最高の部類に入る。仕上げのソーキそばにコーレグース(高麗胡椒:沖縄唐辛子の泡盛漬け)をドバドバかけて、あまりの辛さにヒーハーと喘ぎつつ食べる。店のオネエチャンに聞いたら、この夏に開店したばかりだという。ちっとも知らなかった。料理の味付けなど沖縄育ちのA妹に評価してもらいたい店である。

 新宿に行くとたまあに寄るのが沖縄そば『やんばる』だ。新宿駅からスタジオアルタの隣、みずほ銀行ビルの角を折れて露地に入り、熊本ラーメン桂花の対面、繁華街の四つ角に『やんばる』はある。オレンジ色の目立つ看板と言えば、ああ、あそこか、と思い出す人も多いだろう。ゴーヤチャンプルー定食、ソーキそば、ラフティー丼、オリオンビールにシークワーサージュース。代表的な沖縄料理が食べられるファストフード店だ。これが正しい沖縄の味なのか、味はまあまあなのか、沖縄育ちのA妹にいっぺん聞いてみようと思っているのだが、いまだにちゃんと聞いたことがない。ここでもソーキそばにコーレグースをドバドバかけて、あまりの辛さにヒーハーと喘ぎつつ食べるのがやめられない。

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寒夜のマッコリ

 韓国ストリートと化している新宿の職安通りを散歩して、韓国市場でマッコリを一壜買って帰ってきた。焼肉屋に行くとたまにマッコリを呑むのだが、油っこい焼肉の後にトロッとして甘い口当たりのマッコリが美味しい。家でもマッコリを呑みたいなと思って探していたら、さすが韓国市場、何種類ものマッコリが売られていて、しかもお手ごろ価格。近ごろくたびれ気味で高麗人参エキスにも目がいってしまうが、いやはやさすがに高麗人参エキスは高い。もう中年なのだなあ、などと自嘲まじりに手頃なマッコリを手に取る。さすが韓国市場、野菜売場にはニンニク、唐辛子、ゴマの葉、精肉売場にはカルビ、ロースといったメジャーなものからさまざまなホルモン各種、鮮魚売場にはイシモチに蟹と韓国料理の食材が目白押し。それより面白いのが韓国のスナック菓子にレトルト食品。店内では朝鮮語がとびかい雰囲気満点だ。最近の韓流ブームでさまざまな関連グッズも売られている。

 今年の正月、友人夫妻を案内してこのへんをほっつき歩き、新大久保でささやかな新年会をした。そのときは酒もツマミも異常に安い居酒屋で、魚肉ソーセージを齧ったりして静かな新年会。それからしばらくして蒸し暑い土砂降りの夜、ひさびさに夫妻と会って韓国料理屋でマッコリを呑んだ。夫妻とは長いつきあいだが、その数カ月後に友人は不慮の事故でこの世からアデュウしてしまった。遺された奥さんはしばらく意気消沈していたが、もともとしっかりした女性なので、最近はすっかり元気になっているようすで私も一安心。あの土砂降りの雨の夜、傘を片手に飄然と立っていた友人の姿が目に焼きついている。

 風呂上がりによく冷えたマッコリを呑む。酒杯のなかで白く濁ったマッコリは、甘くてふくよかな香りを漂わせている。安いマッコリだけどけっこう美味しい。もともと私は酒の美味しい不味いなどもわからない無粋な男だからどうでもいいのだ。もう友人とマッコリを呑むこともできないが、私は独りでマッコリを呑む。別に友人のために呑む、などと粋がることもない。私は呑みたいから呑む。ただそれだけのこと。

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